海の見える窓

※現在のことろ入居者募集は行っておりません。
長崎市は、港のある街である。
街の中心地に海があり、船の汽笛が街中に広がる。
今回ご紹介するのは、「海の見える窓」と名付けた家。
その名のとおり、海の見える窓がある家である。
「海が見える家」は、住まいを探している方からよく聞く要望の一つである。
このお家からは、長崎港を行き交う船を見ることができる。
豪華客船をはじめ、長崎県内の島に向かう船が発着する港である。
「豪華客船」と聞くと、華やかでリッチな港町を想像するかもしれない。
けれど、窓の向こうに広がっているのは、きらびやかな景色だけではない。
豪華客船も、島へ向かう船も、長崎市の日常の中を行き交っている。
この窓には、港だけでなく、海や山、造船所の風景など、長崎市らしい魅力が一つの景色として収まっている。

当社は古い家、空き家となった家の利活用を行っている工務店業も行う不動産業者である。
特に坂や階段の上にある空き家を扱うことが多い。
今回のお家は1970年代に建てられたお家。
空き家のご相談をいただき、当社でお引き取りさせていただいた。
写真からも分かるように階段の途中にあるお家である。
室内には、昭和の頃の雰囲気が残っている。
木の窓枠、型板硝子、タイル。
どれも新しい家では、見かけなくなったものばかり。
古いからといって、すべてを新しくする必要はないと考えている。当社はあえて残したい。
傷んでいるところや、これから暮らす人が不便に感じそうなところには手を入れる。
ただ古いというだけなら、それは直すべき欠点ではなく、その家が重ねてきた個性と捉えている。


台所の入口は、以前から使われていた開き戸だった。
戸を開けるたびに廊下の一部を塞いでしまう。廊下に誰かが居るときには、戸がぶつからないように気をつけなければならなかった。
そこで、開き戸を引き戸へと変えた。
引き戸に変えたことで、限られた廊下のスペースを広く使えるようになり、戸を開ける際に人とぶつかる心配もなくなった。
ただ、戸そのものを新しくしたわけではない。
これまで使われていたドアを、そのまま引き戸として活用している。
もともとこの家にあったもの、長く使われてきたものだからこそ、周囲にも自然になじみ、新しく手を加えた部分だけが浮いて見えることもない。
今あるものを見つめ直し、使い方を少しかえることで、これからの暮らしに合うかたちへと整えていく。
一方で、当社のリノベーションでは、別の家で使われていた建具を、新たにリノベーションをする家で生かすこともある。
年月を重ねた家に、別の空間で年月を重ねてきたものを取り入れる。
もともとその家にあったもののように完全になじむわけではない。
不思議なことに、それぞれが持っていた雰囲気が少しずつ混ざり合い、その家の中で新しい空気が生まれる。
時々、「あれ、少しだけ雰囲気が違うな」と感じることもある。
けれど、そのわずかな違いが、かえって部屋の中のアクセントになる。
すべてがきれいにそろっていることだけが、心地よさではない。
その少しの不揃いさもまた、古い家を生かす面白さの一つだと思う。
当社のHPやリノベーション物件を紹介してくださっているYoutube(長崎暮らし)をご覧になった方(県内外の方)とお会いすることがある。その中でもリノベーションを検討されている方やDIYがお好きな方々から、「既存の部分と新しい部分の組み合わせが難しく、参考にさせていただいています」と言われることがある。とても有難い。

リノベーション後:畳、棚、箪笥は当時のもの。

リノベーション後:畳を替え、棚を撤去した状態。
2階建てのこちらのお家。❝海の見える窓❞は1F、2Fのどちらにも付いている。
この家が建てられた当時はどのような景色だったのだろうか。

綿壁だった壁を塗り替えている。壁の仕上げは、ペンキやクロスは使用せず「下地仕上げ」。下地は仕上げとなる塗料やクロスの密着性を高め、色むらや剥がれを防ぎ、長持ちさせるために使用している。しかし、今回は下地だけ充分であると判断。機能的にも外観的にも問題なく、コストを下げることができるため、お客様に提供する際の価格(家賃)も下げることができる。



床を張り替えた。台所のシンクはそのまま。そのままでも十分に使用でき、デザインも悪くない。台所の型板硝子もそのまま。昭和スタイルのお家には必ずある型板硝子。今後も生活の中に残していきたい硝子である。

木枠の窓はそのままに。とても可愛らしい窓である。

洗面台は新調したが、周囲のタイルはそのままに。一つ一つのタイルが小さく、色使いもお洒落なタイル。

こちらも木枠の窓。硝子は、曇硝子に模様が入った型板硝子。お風呂場にも、ただ目隠しをするだけではない硝子が使われており、実用性だけで終わらせない、さりげない贅沢と遊び心が感じられる。

こちらが2Fにある❝海の見える窓❞(写真左側)である。

畳の張替え前ではあるが、リノベーション後の写真。壁の塗り替えを行っており、紅葉模様の型板硝子と❝海の見える大きな窓❞が特徴である。同じ部屋にある二つの窓が、それぞれの違う光を取り込んでいる。(こちらのお部屋の壁も「下地仕上げ」である。)
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客船、出港時の写真。
長崎市は市の中心地に居ながらも海や山が見える、自然に恵まれた地域である。

1つ前の写真と同じ部屋。畳を張替えた後の写真。畳を張替えるだけでも印象は変わってくる。畳は新調する必要がない場合、表替えをするだけでも、見た目や気持ちまでも変わってくる。
長崎市内の中心地の地形はすり鉢状に出来ていると言われています。
すり鉢状の底の部分が電車が通る道や港部分となり、その周囲を坂と階段の街、長崎市の家々が囲んでいます。
今回のお家もその家々のひとつ。
空き家だからといって、住めないお家ばかではありません。
RE活用することで、また新しい住人を迎えることができるお家も沢山あります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
